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文書回答 定年延長前に入社した従業員に旧定年時で退職一時金を支給

2018/05/16

 高松国税局はこのほど、「定年を延長した場合にその延長前の定年に達した従業員に支払った退職一時金の所得区分について」の文書回答を公表した。

 照会者は、少子化に伴い新卒者の採用が難しくなってきているなか、働ける高年齢者を確保することを目的として就業規則を改正。平成30年4月1日より従業員の定年を60歳から65歳に延長することを決定した。

 定年の延長に伴い退職金規程を改正し、退職一時金の支給は65歳に延長するが、延長前(平成30年3月31日以前)に入社した従業員に対しては、定年延長にかかわらず、延長前の定年である満60歳の月末に達したときに退職一時金を支給することとした。

 この旧定年のときに支給される退職一時金は、引き続き勤務する従業員に対して支給するものであり、本来の退職所得とはいえないが、所得税基本通達30-2(5)《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの》に定める給与に該当し、退職所得として取り扱って差し支えないかどうかを照会した。

 照会者の退職一時金は、旧定年である満60歳に達した日までを基礎として計算し、定年を延長した期間は退職一時金の計算の基礎に含めない。また、本件退職一時金を支給した後は、定年を延長した期間に対する退職金の支給はしないとしている。

 今回、定年延長前に入社した従業員に対して、旧定年のときに退職一時金を支給することとした理由は、従業員は、旧定年のときに退職一時金が支給されることを前提に生活設計をしており、定年延長に伴い退職一時金の支給が65歳になると不都合が生じるため、定年を延長する場合においても旧定年のときに退職一時金を支給するように要求していること、また、定年延長に伴い改正された退職金規程の改正前および改正後においても退職一時金の金額は変わらないことは、退職一時金の支給が65歳に延長された場合には従業員にとって不利益な変更となるため、このような不都合および不利益は、雇用主として配慮する必要があり、定年延長前に入社した従業員に対し、旧定年のときに退職一時金を支給することについて「相当な理由」があると認められるとしている。

 この照会に対して高松国税局は、照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えないと回答した。

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